ワークの加工精度を向上するクローズドループ制御

熱の影響は昨今の工作機械における位置誤差の主な原因であり、加工工程そのものに起因します。機械部品の熱膨張と熱収縮が補正されない場合、大きな誤差が生じる可能があります。しかし、従来の制御ループでは送り機構の熱変化を検知することができません。したがって、クローズドループ制御を推奨しています。ワンオフ部品から大量生産まで、寸法および輪郭精度の高い加工を可能にします。

ワンオフ部品

複雑なワンオフ部品では、最初の部品から精度が要求されます。特に5軸加工では、高精度な直線軸および回転軸が重要な要素となります。

多品種少量生産

多品種少量生産では加工プログラムとともに、ボールねじの温度も絶えず変化します。リニアエンコーダを用いたクローズドループ制御では、安定した高精度加工を実現します。

大量生産

ライン化したマシニングセンタにリニアエンコーダおよび角度エンコーダを使用することで精度を向上し、大量生産での安定した高品質を保証します。

リニアエンコーダを用いたクローズドループ制御で熱の影響を補正

ワンオフ部品生産におけるクローズドループ制御

位置測定が5軸加工の精度に及ぼす影響

HEIDENHAINのリニアエンコーダと角度エンコーダを用いた位置測定の長所は、テルスターワークの加工により明らかになります。テルスターボールのような完璧な外見を実現するには、五角形、六角形、そしてボールの継ぎ目に相当する溝を2時間以上かけて高精度に切削しなければなりません。テルスターワークのプログラムで設定した切削工具の傾斜角度が回転軸および直線軸の大きな動きに至り、高い空間精度が必要となります。

セミクローズドループ制御

駆動機構の機械的要因が加工精度を損なっている。溝幅がまちまちで、交差部の精度は明らかに悪く見える。

クローズドループ制御

HEIDENHAINの高精度リニアエンコーダと角度エンコーダが駆動機構における誤差の影響を排除する。溝幅が正確に切削され、交差部が正確に仕上がっている。

多品種少量生産におけるクローズドループ制御

多品種少量生産での安定した精度

工作機械の精度を決めるひとつの要素として、動作条件の急速な変化に対応できるかが重要な項目としてあげられます。なぜなら粗加工から仕上げ加工へ移行する際、工作機械への機械的・熱的な負荷が精度に大きな影響を与えるからです。同様の負荷変動は少量生産時においても生じます。セットアップ工程から加工仕様まで絶えず変動すると精度にさまざまな熱偏差をもたらします。

セミクローズドループ制御

温度ドリフトあり

クローズドループ制御

温度ドリフトなし

大量生産におけるクローズドループ制御

大規模自動生産設備におけるマシニングセンタの精度向上

自動車産業の大量生産は変革期の最中にあります。例えば、駆動系部品の従来の柔軟性を欠いたトランスファーラインは、柔軟性を向上させるため、徐々にライン化したマシニングセンタに置き換えられています。

完成した部品の加工精度は生産システム全体での各生産機械またはサブプロセスによって決まります。クローズドループ制御で使用するリニアエンコーダにより、加工精度が向上し公差余裕が大きくなるため、例えば、工具の寿命を長くすることができます。