自動化された製造におけるプロセスの信頼性を高めるソリューション
今年のEMOにてHEIDENHAINは、インプロセス工具検査用の工具折損検出器TD 110を展示しています。これには、StateMonitor機械データ収集ソフトウェアと組み合わせた、ライブデモが含まれます。しかし折損していなくても、消耗が激しい、刃先が損傷している場合には、その工具は使用できなくなります。これらの問題を検出するために、HEIDENHAINでは、工具検査用のビジョンシステムVT 121とVTC 1.4ソフトウェアも提供しています。そして、工具検査では、機械に正しい工具があり、正しいデータが含まれる工具テーブルが必要です。これを実現する1つの方法は、HEIDENHAIN制御装置を、外部工具データ管理システム(HEIDENHAINサービスチームが提供するサービス)に接続することです。
HEIDENHAINの工具折損検出器TD 110:利便性の高い工程内工具検出
自動化プロセスで折損した工具を自動的に検出し、後の加工作業中の損傷を防ぎます。TD 110は、工具マガジンを往復する際に通過する折損した工具を検出し、それにより破損した工具が使用されるのを防ぐことで、加工を中断することなくプロセスの信頼性を高めます。このコンパクトで堅牢なセンサは、加工テーブルに近接した、あらゆる工作機械のワークスペースに追加できます。その信号は、タッチプローブインターフェース経由で制御装置に送信されます。そして、制御装置は、マシンメッセージ、NC停止、StateMonitorへのメッセージなどユーザーが定義したトリガーに反応します。
工具折損検出器TD 110は、最小径0.4 mm以上の工具を検査し、2 mm以上の長さの変化から非接触折損検出を行います。これは、スピンドルが動作速度で回転している機械内部で行います。これにより、プロセスの信頼性が大幅に向上し、従来のレーザーシステムと比較して、すべての検査にかかる時間が最大6秒短縮されます。工具交換時の時間的およびコスト的メリットは計り知れません。また、TD 110は圧縮空気を使用せずに動作するため、CO2排出量が少なくなります。さらに、エアホースおよびフィルタシステムを省略したため、取付けも簡単です。必要なのは、電源供給と通信の両方を伝送する1本のケーブルのみです。TD 110は、インダクティブ測定技術により、メンテナンスフリーです。
EMOでのライブデモ:「HEIDENHAINのTD 110、TNC7、StateMonitorソフトウェア」
ドイツ、ハノーファーで行われるHEIDENHAIN見本市ブースでの工作機械の製品ライブデモには、HEIDENHAIN Digital Shop FloorのStateMonitorソフトウェアへのアラートを含むTNC7の折損検出サイクルを使用したTD 110のデモンストレーションもあります。HEIDENHAIN制御装置の折損検出サイクルは、以下のように検査の評価を行います。
- 正常 = 生産プロセスを継続できます。通知が制御装置とStateMonitorに送信されます。
- 破損検出 = ユーザーは、工具のロック、NCプログラムの中断、制御装置への通知、StateMonitorへのアラートなど、必要なアクションを自由に定義できます。
また、TD 110は、機械信号としてStateMonitorにも通知されます。
これにより、ユーザーに折損を知らせることができます。また、StateMonitorメッセンジャー機能により、同時に複数の機械を使用しての作業中などに、対応時間が短縮されます。センサをStateMonitorに接続すると、経時的な折損の詳細な分析も可能になります。
HEIDENHAINのVT 121およびVTC 1.4:顕微鏡のような工具検査
ビジョンシステムVT 121とVTC 1.4ソフトウェアを使用すると、機械のオペレータは、機械内部から見た工具の刃先を鮮明に見ることができ、顕微鏡で見るかのように、モニター上で工具の刃先を画像化し、カッターの摩耗の程度を測定できます。これらのソリューションを使用することで、工具、ワーク、機械への高額な損害を防ぎ、精密な摩耗軽減により長期的に工具コストを削減し、プロセス内の自動画像化により時間とコストの両方を節約します。
目視検査の場合、VT 121のカメラは、すべての刃先のクローズアップ画像を作成します。また、オプションとして、工具全周の詳細なパノラマ画像も作成できます。これは、搭載した異なる視野角を持つ2つの対物レンズによって可能にします。これにより、ビジョンシステムVT 121およびVTC 1.4ソフトウェアは、TNC制御装置のサイクルと組み合わせることで、以下の幅広い機能を提供します。
- 開発中の工作機械の工具テストの自動化
- 工具の状態と摩耗の記録
- 折損検出と折損した工具のロックを自動化
- 重要な加工工程前に、適切な工具の状態を確保
- 設計寿命が過ぎた後の、工具の現状確認
- 結果の分析と、切削パラメータと部品プログラムの最適化
HEIDENHAINの工具データ管理:工具データの同期
使用中の工具に関するデータは、生産プロセスの複数の時点でユーザーによって生成され、必要とされます。同期されたデータプールには、明らかに多くのメリットがあります。
- 工具をそれぞれ識別することで、取り違えを防ぎ、プロセスの信頼性を向上させます
- 工具に関する一貫したデータを、すべての工作機械で利用可能
- ユーザーは常に、各工具がどこにあるかを常に把握できる
- ユーザーは、各工具の寿命をリアルタイムで確認できる
TNC 640およびTNC7制御装置用のETDM外部工具データ管理システムにより、任意の外部のウェブサービス対応データベースと制御装置のローカル工具テーブルへの接続が可能になります。これは、古い工作機械であっても、HEIDENHAINサービスチームのPLCプログラミングヘルプラインを通じていつでも実装できます。例えば、ほとんどの工具プリセッタのデータを転送して活用できます。データは、ユーザーが工具ホルダー上の固有のコード(バーコ-ド、QRコード、DataMatrixコード)を使用して制御装置上のツールを識別した後、またはRFIDチップを介して企業のネットワーク経由で交換されます。