プラスチック加工におけるインダクティブロータリエンコーダ
プラスチック射出成形の機械設計では、ハイブリッドや全電動式の駆動技術が重要になっています。高効率の電動式駆動により、型閉じ、射出、充填、そして連動した取り出しロボットの動作を行います。サイクル制御の射出成形機の生産性を向上させるため、継続的に処理能力を増やすことが目標です。高動特性の駆動制御を必要とする場合、堅牢なフィードバックシステムが不可欠です。HEIDENHAINのインダクティブロータリエンコーダECI/EBI/EQI 1100シリーズ、ECI/EQI 1300シリーズ、ECI/EBI 100シリーズはこのようなアプリケーションに最適です。サーボモータの軸方向寸法に合わせて小型タイプ(1100)や大型タイプ(1300)、そして中空シャフトタイプ(100)を用意しています。また、シングルターン(ECI)、ギア式マルチターン(EQI)、バッテリーバックアップ式マルチターン(EBI)といった種類があります。これらの分解能は524 288 位置値/回転ですが、EBI 1100のみ262 144 位置値/回転となっています。回転数については、ギア式マルチターンエンコーダが4096回転、バッテリーバックアップ式が65 536回転です。全てのシリーズでデータ伝送は市場に広く普及しているピュアシリアルのEnDat 2.2インターフェースで行います。EnDat 2.2にはEMC耐性があり、高速データ伝送が可能で、制御の動特性に対して最も厳しい要求にも応えます。
性能や通信接続性に加えて、インダクティブロータリエンコーダは堅牢な設計と最高使用温度115 °Cが特徴です。インダクティブ走査方式は、エンコーダのロータベアリングを省略することができ、モータシャフトはロータリエンコーダのステータの干渉を受けません。モータシャフトにかかる機械的な負荷は、ロータリエンコーダのステータには伝わりません。ベアリングを内蔵しない構造にもかかわらず、インダクティブエンコーダはベアリングを内蔵したものと、同じくらいの取付け公差で扱いも簡単です。耐振動は最大400 m/s² (EN 60068-2-6)であるため、モータハウジングでの振動が高い駆動軸に対応可能です。よって、HEIDENHAINのインダクティブロータリエンコーダは機械的負荷が大きくても高い稼働率を保証します。つまり、負荷がかかった機械が高効率で大量生産をする必要がある場合も精度を保ちます。
全てのロータリエンコーダに、内蔵温度センサ、電子IDプレート、自動起動用のEEPROMメモリが搭載されています。シリーズによりますが、その他に機能安全、外部温度センサや診断パラメータの処理にも対応しています。このようにオペレーティングステータスを監視することで、各駆動軸の予知保全策をサポートします。
その他に、機械設計の一貫性がHEIDENHAIN製ロータリエンコーダの長所としてあげられます。これは生産性と可用性が必要な射出成形機技術にとって重要です。このためインダクティブロータリエンコーダと光学式ロータリエンコーダECN/EQN 1100およびECN/EQN 1300シリーズには、(モータ機構に適した設計による)取付け互換性を実現しています。